近年、小児のスギ花粉症は明らかに増加しているようです。アレルギー外来で、5才以下の患児のスギ花粉陽性率が約3割あるとの報告があります。
また、その低年齢化傾向が大きな問題になっています。春になると、学校医として幼稚園小学校の眼科検診に出かけますが、そこでやはり、スギやヒノキの花粉症と思われる生徒をみることが多くなりました。生後2シーズンで感作がおこり、3シーズン目に花粉症が発病するとの文献報告もあります。つまり、花粉症の症状でつらい3~4才の幼児がいるということなのです。
目が赤い、よく目をこする、くしゃみをする、鼻水といったサインは、周りの大人がわかりやすいですが、鼻づまりは、わかりにくいものです。
鼻をよくこする、口をあけて寝ている、眠りが浅い、昼間ぼーとしてウトウトするといったことも、花粉症を疑うサインとなります。
身近にできるケアとして、ウールの衣服などは花粉が付きやすいので、綿やポリエステルなどの化学繊維の衣服を選ぶようにしましょう。マスクは装用するだけで、吸い込む花粉の量を3分の一ほど減らせることができるようですし、鼻の症状も抑えることができます。
生活習慣としては、うがいが大切です。鼻の粘膜からのどに流れた花粉を取り除くのに効果があります。目を洗うことも有効です。
夜更かしをさけ、食事をきちんと摂り、適度な運動をさせることで、免疫力を高め維持することが期待できます。地味なことですが、基本的な生活態度や習慣は、どんな病気の予防にも大切ですね。子供達が、はるか未来の大人になった時、いろんな病気を抱えてほしくないと心から思います。