コラム

あなたが内視鏡検査を受けるとき、尿漏れに悩んでいるとき

胃カメラや大腸ファイバーなどの内視鏡検査を受ける際、前処置としてブスコパンというお薬を使うことがあります。胃腸の緊張をおさえ観察しやすい状態をつくりだすために用います。内服だったり注射だったりしますが、その時に「緑内障ではないか?その治療のために目薬を使っていないか?」と問診されます。
このブスコパンは抗コリン薬といって、目への作用としては、ひとみ(瞳孔)を散大させる働きがあります。

緑内障は、大きく分けて2つのタイプに分けられます。角膜(黒目)と虹彩(茶目)との付け根を隅角と呼び(下図1の眼球(前部)断面図参照)、その角度が広いタイプを開放隅角緑内障、狭いタイプを狭隅角緑内障といいます。

眼圧とは房水の水圧(値)のことですが、その房水は隅角を通りぬけ眼外へと静脈系へと流れ出ていきます。 狭隅角の患者さんに、ブスコパンを投薬すると、瞳孔が散大(図2)し、隅角がさらに狭くなりついには閉塞してしまいます。眼内からの房水の流出が滞り、眼圧が急上昇することになります。その状態を緑内障発作と呼びます。その危険を避けるために、ブスコパンの使用の際、問診があるのです。

この原稿を書いているときに、NHKの「ためしてガッテン」(2008年3月5日放送)で 尿漏れの話をしていました。骨盤底筋が弱くなり起こる尿漏れのタイプと、膀胱が暴走するタイプ(原因不明)があるということでした。後者は、過活動膀胱(切迫性尿失禁)といい、このタイプに抗コリン薬が効くとのことでした。

胃カメラ検査や、尿漏れに悩んでいるときに、単に緑内障というだけで、或いは眼圧を下げる目薬を使っているだけで、抗コリン薬を使ってもらえないとしたら、、、患者さんにとって不利益な話です。

緑内障すべての人に、抗コリン薬が禁忌(使えない)ではありません。未治療の閉塞隅角タイプのみ禁忌なのです。今まで、薬の説明書に「緑内障には禁忌・慎重投与」とだけしか明記されていなかったことにも問題があります。いま改めて医療従事者も患者さん本人も、緑内障のタイプを確認していただきたいと思います。

また、たとえ狭隅角あるいは閉塞のタイプであっても、既に点眼治療が開始されていたり、レーザー虹彩切開術などの手術を受けている患者さんでは、抗コリン薬の投与で眼圧が上がるリスクは極めて低いため、禁忌にはなりません。
緑内障と診断されただけで、抗コリン薬の使用をすぐにあきらめることはありませんね。一度、眼科主治医に、おたずね下さい。

 

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