現在、風疹が(平成20年以降では)最大の流行になっています。全国的にみても兵庫県の患者数は全国の患者数の30%を占め、大都市圏の大阪、東京がこれに続いています。性別割合は、男性対女性は7:3。年齢分布は、10歳未満6%、10歳代16%、20歳代24%、30歳代53%となっています。麻疹風疹混合生ワクチン(MRワクチン)の3-4期接種対象より上の世代に流行のピ-クが見られます。
今では、MRワクチンの接種徹底で子供たちの予防はされていますが、1979年から1987年に生まれた年代は、幼児期に風疹の予防接種を受けていない人が多数います。平成7年以降に中学を卒業した方たちです。その人たちが、生殖年齢に達しており、妊娠の可能性があります。
これがなぜ問題かといいますと、妊婦が風疹に感染すると、胎児が「先天性風疹症候群」に罹ることがあるからです。妊娠初期の胎児の器官形成が体内で行われているときに、風疹ウイルスによって胎児に先天異常をもたらすのです。生まれてきた赤ちゃんに、先天白内障、緑内障、先天性心疾患、感音声難聴、網膜症、骨端発育不全、低出産時体重などがみられます。
特に、妊娠の可能性のある方は、風疹ワクチンを幼少期に受けたかどうかを確認しましょう。自分の母子手帳や母親に聞いてみてください。わからない場合は、風疹の抗体検査を受けられることをお勧めします。(血液検査です。)検査結果の抗体の数値により、風疹に罹ったことがある、抗体が充分にある、或いは抗体が減っているといったことがわかりますので、先天性風疹症候群に対応できます。また、抗体がない場合、風疹の予防接種をしますが、生ワクチンですので、誤って受胎3カ月以内に接種した時の胎児への影響は否定されていません。なので、接種後妊娠まで 2、3カ月は避妊をしてください。
風疹は、患者の咳などから、空気感染をします。「3日はしか」とも呼ばれ、発熱や発疹を認めます。幼児期から学童期に多く、あまり深刻な病気ではありませんが、妊娠早い時期にかかると、赤ちゃんに異常をきたす場合があり、気をつけなければなりません。(2006年4月以降は、小学校入学前に1期のMRワクチン接種が徹底されています。)
麻疹、風疹は特効薬がないので、予防が大切です。接種については、お住まいの市町村や医療機関にお尋ねください。