一時、我が医院でもLASIK(レーシック)について、患者さんから質問されることが多かったのですが ここ最近ないな~と思っていましたら、日本眼科医会から最近、以下の報告がありました。
レーシックの施行件数が、2008年の45万件から2014年には5万件と、実に9割も減ったということです。
レーシックは、自由診療(保険がきかない)ながら、その安全性が認められ、広告とともに徐々に認知されていきました。眼鏡が不自由なプロの野球選手やゴルファーには良い適応ですし、コンタクトレンズにアレルギー反応が出る眼の方にも適応があると思います。ただリーマンショック後、その費用が高額なこと、ある施設での術後の角膜感染症が大きな社会問題になったこと等から、次第に施術の件数が減っていったものと思われます。
レーシックは正常な角膜を削る手術です。病気の角膜ではなく、正常の角膜を削るものです。そして、削ったものは元には戻せません。ですから、慎重におこなわれるべきものです。
術前の狙い通り、近視の方が正視になれば良いのですが、過矯正といって遠視になってしまうことがあります。この場合、手術前より遠くは見やすくなっても、近く(手元)を見るとき、ピント合わせをする際に、より頑張り(調節力)が要るようになり、とても疲れてしまいます。人によっては、長時間のデスクワークで、頭痛や吐き気などの体調不良を生じてしまいます。
また乱視が残ることもあります。或いは、術後初期だけと思われていた、まぶしさや目の痛み、ドライアイが続くこともあります。
レーシックを受けて、若いときは遠くも近くもよく見えて快適ですが、40歳台以降になってくると、老視も起こってくるので、手元が見えづらくなります。レーシックを受けて、メガネ不要のはずだったのに、中年になってスマホや新聞の字が見にくくなり、再び老眼というメガネをかけなくては、手元がはっきりみえなくなります。(レーシックの仕上がりを両眼で視力1.0弱に仕上げてもらうと、老眼なしでも手元が何とか見える状態にはできます。ここでも、術前の先生との十分なやり取りと確認が必要だと思います。)
やらなければならない手術ではないですが、レーシックは医療技術の進歩により確立した手術でもあります。ですから、メリット、デメリットについて充分説明を聞き、納得したうえで、レーシックを受けていただきたいと思います。前述の副作用や、術後に起こりうるであろうことのじゅうぶんな説明がなされる施設でお受けいただきたいです。
深夜の震災などで、コンタクトレンズを入れていない状態、或いはメガネがどこにいったか見当たらなくてかけれないなどの状況を思うと、視力が不良なことが、どれだけ不自由で不便なことか、容易に想像がつきます。
治療法は、時代により変わっていきます。トレンドもあります。しかし、有効なものはこれからも残っていくものと思います。しっかり説明を受け、納得して、恩恵を受けてください。