コラム

ドライアイとアイシャンプーについて

目の調子が悪い、ゴロゴロする、目が乾く、見にくいといった目の表面のトラブルで悩んでいらっしゃる方はおられませんか?意外にドライアイによるものが多いようです。

ドライアイには、量の異常(涙の量が不足)によるものと、質の異常(涙の成分の異常)によるものがあります。

涙の成分は、水分と油分、ムチン(糖たんぱく質で、水分を角膜に密着させる)から成り立っていますが、最近は、その質の異常によるドライアイが増えてきました。涙は出ているけれどその涙が定着しない、あるいは蒸発が早いというタイプです。

涙の油分は、目の縁の部分、まつ毛の根元のすぐ内側のところに並んでいる「マイボーム腺」から分泌されています。この腺の開口部が何らかの原因でつまってくると、さらさらとした脂が出なくなり、涙は十分出ているのに目の表面の油膜が少ないためすぐ蒸発し、ドライアイとなってしまうのです。このマイボーム腺の機能が何らかの原因で異常を起こしてしまう病気を、マイボーム腺機能不全(以下MGD)といいます。このMGDによる油分不足のドライアイを「蒸発型ドライアイ」と呼び、昨今は実に8割にも及んでいます。

顔は洗うけれども、目の周りは適当に洗っているという人が多くはないでしょうか。男性に多く見られるようです。古くなった脂が、ラードのように固形化してしまいマイボーム腺の開口部を塞いだり、その脂がまつ毛の根元まで広がったりしています。そのため、まつ毛の根元が痒くなり、こすったりしているうちに炎症を起こしていきます。ものもらい(めばちこ)を繰り返す患者さんもいます。また女性では、アイメイクを目の際まで入れ、マイボーム腺の開口部を塞いだり、エクステをしているためまつ毛を十分に洗えないという患者さんもおられます。アイメイクをクレンジングオイルで洗うも十分落せていない方もおられます。またそのオイルがマイボーム腺の開口部を塞ぐこともあります。

どんな部位でもそうですが、いつも清潔にするということが大事です。目の周囲を洗い、清潔にし、マイボーム腺の詰まりをとることが治療の第一歩になります。その上で、目薬などの治療をして、初めて効果がでてくるのではないでしょうか?どんな目薬を使ってもよくならない、ドライアイが良くならない、目やにのようなもので異物感がとれないといった方は、眼瞼の清拭(リッドハイジーン)といった意識も持ってほしいと思っています。

当院では、今までMGDの患者さんには、赤外線による温罨法、点眼治療に加え、目の周り特にまつ毛の周りをよく洗うことをお話してきましたが、具体的には充分指導できていなかったと思います。ベビーシャンプーを薄めてお使いいただくことくらいでした。しかし最近になり、日本製で、pH値や浸透圧を涙と同等に設計したシャンプーが発売されました。(当院で取り扱っています。)これにより、目にしみない刺激のないシャンプーで、毎日洗っていただけるようになりました。「まつ毛を洗うとは、、、」と意外な感じがすると思いますが、習慣づけていただくとよいと思います。

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