消化器がん、乳がん、肺がんなどに投与されているTS-1(ティーエスワン)という抗がん剤があります。この薬の眼への副作用が、注目されるようになってきました。主に、角膜(黒目)や結膜(白目)への障害が報告されています。おそらく涙液の中の「TS-1の代謝物」が作用して、角・結膜に炎症を起こしてくると考えられています。その程度が軽ければ、人工涙液の点眼や消炎剤の点眼で軽快します。さらに炎症が涙道(涙の下水管)に及ぶと、涙道の狭窄や閉鎖による涙目の症状が強くなります。こうなると点眼剤で軽快せず、涙道にシリコンチューブを挿入するなどの処置が必要となります。
「眼の症状とおそらく関係あるまい」と思われている全身の病気や、他科でもらわれているお薬などの情報も 眼科医にお知らせいただくとありがたく思います。